●植物を花束のように組み合わせて植え込む「切り花アレンジメント」のような寄せ植え
ギャザリングとは、何種類もの根つきの植物を花束のように手のなかで組み合わせて器に植え込む、新しい植物装飾(プランツ・アレンジメント)の技法です。 植物が生長し大きくなるのを何ヵ月も待つのではなく、植え込んだときから豪華で鮮やかな装飾作品に仕上げられ、時間の経過とともに新たな表情を楽しむことができます。 このように、フラワーアレンジメントなどと同じように楽しめる方法ですが、日持ちの良さ、切り花が飾れない環境に置けること、ローメンテナンス(面倒が少ない) といった利点があります。新たなフラワーギフト提案や、大規模施設内での、明るい吹き抜け空間など切り花が弱りやすい条件下でも長く生花を展示することが可能となります。
●土を使わず自然素材の用土に「根つき花束を植える」新しい植物の装飾技術
ギャザリングは、花苗を使うので一般的には「寄せ植え」の技術として紹介されていますが、視点を変えると、「植物装飾」という大きな枠組みでとらえることができます。 例えば、「ブーケ」など「寄せ植え」以外のスタイルにも対応することができます。これまで別々のものと考えられてきた、切り花装飾と鉢もの装飾はギャザリングによって その境界が融合しはじめています。基本技術は「花束植え」、「インサート(挿花)法」、「マウント技術」の3つで、この技法により新たな価値を創作します。
フラワーアレンジメントとギャザリングの違い
共通点と差異 | ギャザリング | フラワーアレンジメント |
使用素材 | 苗もの(花苗、グリーン) | 切り花 |
事前準備 | 根鉢を小さくする ※ブーケの場合は土をきれいに洗い落とす |
水揚げ |
メカニック | ベラボン、培養土 | 吸水性スポンジ、剣山など |
テクニック | 茎を切らず、花束にして挿し入れる | 茎を切り、1本ずつ挿し入れる |
器 | 植木鉢、花器(底穴あり、なし) | 花器 |
作品タイプ | マウントギャザリング リーティブーケ |
ラウンド型のアレンジメント ブーケ |
表現タイプ | 装飾的で緻密な組み合わせ・グルーピング・植生的な・マッスなど | 装飾的な組み合わせ・グルーピング・植生的な・マッスなど |
装飾できる期間 | 長期間 | 短期間 |
●ギャザリングの基本技術
・花束植え
植物を根をつけたまま花束に組んでユニット(構成単位)にする
・インサート(挿花)法
あらかじめ器に入れたヤシガラ素材の培地(ベラボン)に差し込む
・マウント技術
ユニットの根鉢を盛り、背の低い植物を生かす
●ベラボンとは
ギャザリングの切り札「ベラボン」はヤシの実の果皮と殻の中間に詰まったスポンジ状の繊維質が原料となっており土に比べると圧倒的に軽く、沈下が少なく、通気性が確保されるため、夏場は蒸れが少なく、冬場も凍りにくい優れた資材です。 生産時に洗浄し、アク抜きしてあるので清潔で手が汚れにくく指先を気にする必要がないと好評で、鉢替えもスマートに行うことができます。
【特徴】
・ベラボンは天然ヤシの実からつくられる自然素材
・ベラボンは軽くて根に大量の酸素を与える
・ベラボンは可燃物として処理できる
・ベラボンは環境に配慮して生産、加工される